今年の4月1日から始まった 
「相続登記の義務化」。
 不動産を相続したら、
 3年以内に登記義務。
 果たさなければ 
 10万円以下の過料も!

 

司法書士 吉野

 今年の4月1日から「相続登記の義務化」がスタート。これにより不動産を取得した相続人に対し、知ったときから3年以内に登記義務を果たさなければ10万円以下の過料を科される事になります。皆さんの生活に直結し、そして「相続」の考え方が今までと大きく変わる改正です。
 

なぜ?→所有者不明土地問題

 改正の背景にあるのが、所有者不明土地問題。誰の所有かわからない土地が全体の24%(九州の面積を超える規模)を占め、大きな社会問題になっています。誰の物だかわからないという事は、売買できない、公共事業にも使えないという事。その原因が「相続登記の放置(62%)」と「住所変更登記の放置(34%)」。そこで、所有者不明土地を発生させないために、放置を許さない、と相続登記の義務化が法改正されました。
 

相続の考え方が変わる!

 そもそも自宅の名義、実家の土地、いずれも大事な「自分の財産」。自分のために大事な財産を使える状態にする(=名義をきちんと変更する)のは大前提。忘れてはならない大事な事です。
 
 相続登記の放置、代表例は次の二つ。
 とりあえず型:「とりあえず妻の私が住めているから、登記は急がなくても」
 争族型:「遺産分けの話がまとまらない。もめているから登記ができない」
 いずれも放置はです。遺言がなければ、法定相続人の共有状態。今回の改正を機に、法定相続人の権利意識も高まり、もはやなあなあではいられません。またもし争族になっても、重病等正当な理由が無ければ相続登記義務は免れません。相続から3年以内に遺産分けがまとまらなければ、ひとまず「相続人申告登記」を各自で法務局へ申し出る必要があります。
 

どうしたら?

 法定相続人の共有状態を防ぎ、相続登記の手続き負担を無くすためには、やはり「遺言」で自ら準備すること。ただ、今回の改正は、既に相続が発生しているケースにも適用され、2027年3月31日までに相続登記の義務を果たす必要がありますので、実家の名義が故人のままになっていないか、ぜひ確認してください。また、さらに来年4月1日から「住所変更等の登記申請」義務化がスタートすることも要注意です。例えば住所が変わったら2年以内に住所変更登記を申請しないと、5万円以下の過料を科されることになります(同時に、あらかじめ検索用情報の提供があることを前提に、登記官が住基ネットから取得した情報に基づき職権的に住所変更登記を行う制度も導入)。こちらも転勤族の方など影響が大きい改正です。自宅の登記簿がどうなっているか、マイホームを買った時以来それきりの方は多いと思います。この機会に改めてご家族で確認をされることをお勧めします。