医療行為の代理人になるために

【医療行為の代理人になるために】
医療行為の代理人になるためには、契約・支払いに関する代理権とともに「身上監護」に関する権限が付与されていることが必要です。手術や投薬などの医療同意や、入院や施設入所など生活環境の整備など、ご本人の生命の安全、生活の安心を築くことができる、もっとも重要な権限といえます。
そのためには、ご本人様と通知人様で「身上監護・財産管理委任契約」「任意後見契約」を公正証書で作成することが有効です。
 
【ご本人様・通知人様にお願い】
死亡後のことだけでなく、スムーズに入院でき、すみやかに医療を受けることができるような環境づくりが重要で、高齢期における介護にも同様のことがいえます。
特に緊急搬送時には、医師と手術をするしない、延命治療をするしない、など治療方針を速やかに話し合っていく必要があります。医療同意・身上監護に関する権限がない状態ではすみやかに治療をすることができなくなってしまいます。
本人が適切な医療・介護を受け、安心して日常生活にもどれるような準備こそ大切なことです。死亡後のことだけでなく、安心して生活するために、どうリスクに対応するかについても考えてみてください。

 
【市川事務所ができること】
医療行為に関する一連の手続きは「死後事務委任契約」に含まれておらず、市川事務所が代行することはできませんが、ご要望に応じて「身上監護・財産管理委任契約」「任意後見契約」を公正証書で作成させていただきます。ご本人様が通知人様に任せる場合のほか、任せる方がおらず専門家に依頼したい場合など、状況にあわせて作成できますので、お気軽にご相談ください。
 
【身上監護・財産管理委任契約、任意後見契約とは】
●身上監護・財産管理委任契約
病気やケガで出歩くことがむずかしくなったり、寝たきりになってしまった場合、親族や信頼できる知人に依頼し、預金を引き出したり、治療費や家賃を支払ったり、買い物をしてもらったりすることがあるでしょう。また、急に倒れてしまい、入院や手術、施設に入所することになってしまった場合、医療同意や契約をしてもらうこともあるでしょう。このような際に、予めその依頼の内容を書面にしておくことによって、適法に本人の代理人として契約や預金の引き出し、支払い、病院や施設が求める同意書へサインをすることができます。

書面にしてなければ、代理人であることを証明できませんし、また後日、本人に判断力が無くなったり死亡した後で、依頼を受けた人が他の親族や相続人から、資産を勝手に使ったり着服したのではないか、勝手に判断して病状が悪化したのでは?などと疑われるおそれもあります。
このような場合に備えて、あなたが、あなたが依頼した人に対して財産の管理を委任したことや、身上監護に関し委任した内容を明らかにするものが「身上監護・財産管理委任契約書」です。この契約は、本人に判断能力がある時期の代理人です。本人が判断能力を失った後は、同時に作成した「任意後見契約」に移行し、引き続き代理人として活動することができます。
●任意後見契約
認知症や外傷によって判断能力が失われてしまうと、自分で財産を管理したり、契約をしたり、適切な医療介護を選択することが困難になります。このような場合に引き続き身上監護・財産管理をしてくれるのが後見人です。

後見人には、あらかじめ自分で契約しておく「任意後見人」と、家庭裁判所の審判で選任される「法定後見人」があります。
「任意後見契約」をせず、後見人を決めていない場合に、判断能力を失うと法定後見人を選任するしかありません。法定後見人は家庭裁判所が選任するので、身内や親族が後見人になる人を決めることはできませんが、任意後見人は本人が自分の信頼できる人を後見人にすることができます。また、後見が必要になったときにどのような生活をしたいのか、どのように財産管理をして欲しいのかを定めておけば、希望に添って後見事務をしてくれることが期待できます。